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原理

  • 「どういうエロが自分に刺さるのか」、その芯を言葉にした、いちばん上位のメモ。「なぜこの仕掛け・この展開がグッとくるのか」を貫く“芯”をここで決める。
  • 装置・構造カタログ定番パターンと応用の各項目は、この芯の具体例として並べる。
  • plot-design / novel-review / novel-writing の各スキルは、設計や評価に入る前にこのページを読む。

本人は理性を最後まで保っている。むしろ、その理性を保ったまま、自分で決めた選択によって一歩ずつ追いつめられていく。この「構造」そのものが芯。

  • ポイントは「壊れて堕ちる」んじゃなく「まともなまま堕ちる」こと。頭ははっきりしていて、自分で考えて、自分で決めている。なのにその選択の一つひとつが、確実に破滅へつながっていく。本人の判断力・プロ意識・責任感・欲——本来その人を支えているはずのものが、そっくりそのまま自分を追いつめる側に働いてしまう。
  • なぜこの構造が良いのか:本人がまともなまま、自分で決めて堕ちるから、堕ちていく実感も屈辱も全部“本物”になる。賢くて誇り高い人が、目を覚ましたまま、自分の手で自分を追いつめていく——その一部始終を本人がちゃんと味わってしまう。そこがいちばんの旨み。
  • 逆に、選ぶチャンスも与えずに、いきなり全部を洗脳で奪ってしまうのはNG。反応する当人が消えて旨味がなくなる。「本人がやられたこと」になってしまうから。
  • ただし奪ってはいけないのは「意志そのもの」というより「自分で選ぶ機会」のほう。本人が自分で選んだ結果なら、そのあと理性を保ったまま拘束するのは大いにアリ。一時的に意識を奪う洗脳でも、途中で正気に戻る瞬間や、自分で選び直す瞬間があればいい。拘束や洗脳そのものを一律で禁じるわけじゃない。

1. 行為そのものより、そこに至る過程・舞台装置

Section titled “1. 行為そのものより、そこに至る過程・舞台装置”
  • 「理性を保ったまま自分で堕ちていく」を成立させるのは、エロ行為そのものじゃなく“舞台装置”の仕事。行為は、その仕掛けが生んだ結果として出てくるだけ。
  • 舞台装置(契約・デスゲーム・公開配信・異常に作り込まれた罠)=彼女のまっとうな判断が、一歩ずつ破滅につながっていくための「仕掛け」そのもの。この仕掛けの作り込みの精巧さこそが、魅力の本体。
  • 無害化=「使うこと」が確定する:普通の脅しの道具は「使わずに済ませるため」に構えるもの——だから使わない可能性が残っている。でも無害化された道具(例:シリコン製チェンソー)は、使う以外に用途がない。置いてあるだけで「使う」ことが確定してしまう。逃げ道をふさぐ仕掛け(→原理E)の、道具バージョン。
  • バカバカしさの二重の働き:バカバカしい道具ほど「そんなものに屈服させられるのか」という屈辱が際立つ。同時に「傷ひとつつけない=暴力に頼らない」という、ヒロインと読者へのメッセージにもなる(痛めつける系=リョナとは違う、という作中での宣言)。バカエロの明るさは飾りじゃなく、ちゃんと機能している。
  • 従わせる手段が「体の拘束」だけだと、選ぶ余地ごと奪ってしまって、「自分の選択で自分を追いつめる」現象が起きない(→芯)。だから、従わせる力は体より「心」にかけたい。
  • 縄で縛れるのは体だけ。人質・プライド・契約・使命感が縛るのは「彼女が選べる道」のほう。体は自由なのに、いちばん最悪の道を自分で選ばされる——これが効く。

3. 攻める側ではなく、彼女の側から見る(傍観者の視点)

Section titled “3. 攻める側ではなく、彼女の側から見る(傍観者の視点)”
  • 「理性を保ったまま自分で堕ちる」は彼女の心の中で起きること。だから攻める側(凌辱側)から見ても、その芯の現象は見えない。彼女の側から見て初めて成立する。
  • 本当の“敵役”は舞台装置のほう。加害者はその装置を動かしている係員にすぎない(加害者のキャラが薄くても話が成立するのはこのため)。
  • 読者は、全能の悪役に感情移入したいわけじゃない。 起きる結果(彼女の破滅)は同じでも、読者はその過程にできるだけ関わりたくない——むしろ関わらず、外から見ているだけのほうが美しい。だから加害者の欲や自我が前に出てくる装置はノイズになる(例:なりかわり・成り済まし)。装置は事務的で、色のない“無個性”なほど良い。
  • 無個性であることの効能:装置の声(テロップ・ナレーション・実況・契約の条文)は、「誰の台詞でもない形」で読者の期待を代弁できる。悪意の出どころ(スタッフ=悪役側)を隠す必要はないが、それをキャラの台詞にすると感情移入の邪魔になる。だから装置の声に乗せる。
  • 誰に注目させるか(焦点の絞り方):世間・知人・観衆は、彼女の認識か、記録(→原理C)を通して初めて意味を持つ。彼女とつながらない第三者の内面や事情は、読者の関心の外。例外は、その第三者自身が次のヒロインになる構成(複数ヒロインの長編)だけ。
  • 傍観者は「彼女がかつてどれだけ高い所にいたか」を知っている、外側の“採点者”として働く(→原理A)。

4. 作品世界の“特別ルール”で、逃げ道を全部ふさぐ

Section titled “4. 作品世界の“特別ルール”で、逃げ道を全部ふさぐ”
  • 作り込んだ世界観や契約を要求するのは、「リアルにしたい」からじゃなく、「逃げ道を一つ残らずふさぎたい」から。
  • ここで置く特別ルールは、SF作品でいう「嘘」に近い。SFは基本は科学的にリアルな世界を描きつつ、面白さのために「明らかに非現実な要素」を一つだけ堂々と持ち込む(ワープ航法みたいに)。それと同じで、この世界にも「現実にはありえないけど、この作品の中では正式に成立している特別ルール」を据える。それが逃げ道をふさぐ役目を果たす。
  • 説明が雑だと「普通に断れば? 訴えれば? 逃げれば?」という、まだ塞がれていない道が残る。すると「彼女自身の選択で堕ちた」じゃなく「作者が無理やり堕とした」に見えて、没入が壊れる。
  • この特別ルールは、加害者の罪を消すためのものじゃない。彼女の選択に「もうそれしかなかった」と納得できる理由をつけるためにある。逃げ道が全部ふさがっているからこそ、読者も「彼女が自分で選んだこと」として罪悪感なく見ていられる——これが読者にとっての“免罪符”。

A. 落ちた「落差」が観測できる

Section titled “A. 落ちた「落差」が観測できる”
  • 大事なのは、彼女がどれだけ落ちたか——その「落差」が、誰かに見て取れる形で描かれていること。
  • ジェットコースターに喩えると:まずゆっくり、でも着実に坂を登る(=元の高さを積み上げる)。そして落ちる前に、これから待っている下り坂(=破滅の恐怖)を存分に見せて、予測させる。落ちる瞬間そのものより、この「登り」と「これから落ちる」という予感が、落差を体感させる。
  • 採点するのは本人とは限らない。読者でもいいし、彼女の元の高さを知っている外部の人でもいい。選択さえ済んでいれば、そのあと本人の理性は残っていなくていい。 読者が何らかの形で落差を観測できれば、それで成立する。
  • 条件は「元がどれだけ高かったか」がちゃんと示されていること。元の高さが分からなければ、落差も測れない。
  • 例:頭のいいキャラの薬堕ちは、本人の理性はもう失われていていい。「あの賢かった人が、禁断症状で無様をさらしている」——その落差を読者が測れる鬱シコとして描く。

B. 本人が自分で選ぶことで“確定”する

Section titled “B. 本人が自分で選ぶことで“確定”する”
  • 堕ちは「こうなりました」という状態の説明で済ませない。本人が一回、自分で選ぶことで確定させる。「された」んじゃなく「本人が自分で選んだ」形にする。
  • 無理やりやらせただけ・言わせただけは「選択」じゃない。 意志が入っていないと、「自分で選んだ」の裏づけにならない。選択と呼べるには、本人が理性で見比べて「選べた」実態が要る——危険なほう(赤いボタン)の隣には、必ず安全なほう(青いボタン)がある。脅されての選択が効くのも、彼女の理性が「こっちが一番マシだ」と結論するから。
  • 例:元に戻れる正規の出口(青いボタン)をちゃんと見せた上で、本人がそれを蹴って、自分から危険なほう(赤いボタン)を押す。
  • 例:逃げようと思えば物理的に逃げられるのに、自分から陵辱される場所へ足を運ぶ。一歩ごとに「逃げない」を選び直していて、その積み重ねが「これは自分で選んだことだ」を裏づけていく。
  • 契約の読み上げ・質疑応答・人前での宣言は、その選択を世界に向けて証明する“儀式”(→原理C)。
  • 運を選ぶのもアリ:最後の引き金が運(ルーレット・くじ)でも、「運に頼ることを自分で選ぶ」段階を通っていれば、責任は本人に残る。合理的には正しい選択(有利な賭けで小さい損を避ける)を積み重ねた結果、致命傷に届く——これは「合理性が敵に回る」の“確率版”。逆に、実力では勝っていたのに運で理不尽に負ける、はご都合でNG。

C. 取り消せない記録として残る

Section titled “C. 取り消せない記録として残る”
  • 尊厳は、周りがそう扱うことで初めて成り立つもの。だから壊れるのも、まともな誰かがそれを「確定した事実」として記録に残して、はじめて完了する。
  • 最低条件は「取り消せない形で存在していること」。 作中の誰かに実際に読まれることは必須じゃない(読まれれば効果が増幅するだけ)。作品世界の大衆はあくまで舞台装置なので、「読者しか知らない」状態でもマイナスにはならない。
  • 必要なのは世界が“正気”であることであって、世界が“知っていること”ではない。だから、世間は正気なまま真実を知らない「秘匿型」はOK。世界そのものが狂っている「催眠観衆」はNG(→原理E-2)。
  • ここには、食い違うことのある2つのレイヤーがある:
    • 本当のところ:作品世界で実際に起きている事実そのもの。誰かが書いたかどうかと関係なく成立している。読者=神の視点はこれを必ず読める唯一の存在で、買収も催眠も効かない、絶対に正気な“証人”。本人もこれを知っている。
    • 世間の記録:作中の社会が認識し、書き残している事実。契約書・公的書類・販売ページ・レビュー件数・公認制度・法令の適用除外などは、全部この「世間の記録」の言葉。
  • 参考資料(商品ページ・条文・SNSまとめ)は、単なる演出テクニックじゃなく嗜好の中心に近い。これらは全部「世間の記録」の“写し”。「本当のところ」は書類じゃないから写しが取れない——参考資料が写しているのは、いつも世間の記録のほう。

記録の残り方は3タイプ

  • 公開型(基本):「本当のところ」と「世間の記録」が一致する。世間が真実をそのまま記録し、社会的な辱めが落差を増幅する。
  • 秘匿型:2つが食い違う。例——作中の世間では単なる行方不明扱いだが、読者から見れば、人知れず洞窟に監禁されて永遠に凌辱されている。これは「記録として残す」ことの放棄ではなく、“わざと間違って記録される”という別タイプ——「本当のところ」には真実がずっと刻まれ続け、「世間の記録」には間違った記録が正式に載る(行方不明処理・捜索打ち切り・死亡認定)。読者だけが両方を読めるので、この食い違いそのものが鑑賞対象になる。
  • 秘匿型の参考資料は「間違った記録の写し」:捜索打ち切りの記事、失踪宣告の通知、思い出を語るファンのまとめスレ。真実と並べたときの効き方は、商品ページと同じ型。
  • 誤解釈型:実態は完全に公開されているのに、“解釈”だけが間違って記録される。本気の絶叫が「圧巻の演技」として記録され、彼女(と読者)だけが、それが演技じゃなかったことを知っている。公開型の増幅と、秘匿型の食い違いのいいとこ取り。
    • 賞賛一色にしないほうがいい。「迫力はすごいが行き過ぎて下品」「あからさま過ぎてリアリティがない」のような、しれっと尊厳を傷つける批評を混ぜるほうが刺さる——本物の絶望が“演技”として審査され、しかも減点される、という二重の侮辱。

秘匿型が成立する条件

  • 元に戻らないこと:状態が取り消せず、ずっと続くこと(→原理D)。一晩だけの秘密では「本当のところ」への刻まれ方が軽すぎる。「死ねない体で永遠に」は、この“元に戻らなさ”を極限まで振ることで、公開されない分を埋め合わせている。
  • 世間の“間違った処理”が正式であること:ただ「誰も気にしていない」のではなく、世界が間違った結論で記録を閉じている(行方不明・引退・死亡)こと。
  • 本人が食い違いを知っていること(→原理A):彼女が作中で真実を知る唯一の証人になり、「誰も探しに来ない」を採点し続ける。公開型が「隠れる」逃げ道をふさぐのに対して、秘匿型は「助けが来る」逃げ道をふさぐ(→派生4)。

公開の度合い(ツマミ)

  • 秘匿型と公開型は白黒の二択ではなく、その間を段階でつなぐ一本の“度合い”。ツマミを秘匿寄り ↔ 公開寄りにスライドさせるイメージ。作中で真実がどこまで知られているかで決まる:誰にも知られない(秘匿型)→ 加害者だけ → 身近な人に見られる → 世間全体(公開型)。(読者=神の視点は、どの段階でも真実を知っている。それは固定。)
  • このツマミは物語の途中で動かせる。秘匿→公開へ上げていくエスカレーション、いつ公開されるか分からない緊張、逆に下げる展開(公開の危機が去って「誰にも知られないまま確定してしまう」絶望)。

D. 元に戻す手続きが、そもそも存在しない

Section titled “D. 元に戻す手続きが、そもそも存在しない”
  • 「もう元に戻れない」理由を、体の損傷“だけ”に置かない。体の損傷が悪いわけじゃないが、契約・記録・世間の認知といった、そもそも“取り消す手続き”が用意されていない領域に置くほうが、ずっと効く(Cから自然に導かれること)。
  • 例:解除できない契約条項や勝手に進む自動更新、デジタルタトゥー(消せないネット上の記録)、判例で司法が「これは有効だ」とお墨付きを与えてしまっている状態。

E. 作品世界の“特別ルール”の決まりごと(リアリティラインの話)

Section titled “E. 作品世界の“特別ルール”の決まりごと(リアリティラインの話)”

世界はいくらでも狂っていていい。ただし、その世界の中で生きている人間は、全員“正気”でなければならない。

非現実的かどうか(リアリティラインの高さ)は問題じゃない(「痴漢OKバス」は「万能催眠」と同じくらい非現実的)。逃げ道をふさぐ特別ルールが満たすべき条件は、次の5つ

1. 「ルール」であること(悪役の「能力」ではない)

  • 事前に決まっていて、公開されていて、誰に対しても同じに働き、作者自身すら縛る——そういう「世界のルール」ならOK。悪役が好き勝手に、必要なときだけ、都合のいい射程で発動できる「能力」はNG。
  • ルールは読者にとってチェスのルールみたいなもの。どんなに狂っていても、固定されてさえいれば、その上で「詰み」の美しさを味わえる。「能力」は相手だけ駒を増やせるチートで、詰みが“ルールの帰結”ではなく“作者の宣言”になってしまう。
  • 同じ仕掛けでも、置き場所で判定が変わる。例:常識改変が「世界の固定の前提」(=痴漢OKバス型の制度)ならOK、「悪役の道具」ならNG。
  • ルールの後出しはダメ。ただし「事前に確認できたのに本人がサボった」は後出しじゃない——ルールは固定・公開されていて、確認しなかったのは本人のミス(→原理B:サボりもまた選択)。
  • 「あることの告知」と「中身の告知」は別:「シークレット枠がある」こと自体が事前に掲示されていれば、中身が伏せられていてもルールは固定されている。中身を伏せるのは、むしろ期待と恐怖を煽る装置になる。

2. 書き換えていいのは「何が許されるか」だけ(「誰が何を感じ・考えるか」には触らない)

  • 特別ルールが書き換えていいのは「何が許されるか」(合法か・有効か・強制できるか)だけ。「誰が何を感じ・考え・判断するか」には手を出しちゃいけない。
  • ヒロインの理性は“内側の証人”(→原理A)、観衆の正気は“世間の記録”をつける係(→原理C)。観衆の倫理観を催眠で上書きすると、その視線はもう**“正式な記録”として働かなくなる**——狂った証人がつけた記録には、何も残らない。
  • 攻めていいのは体と欲望まで。媚薬は判断力を無傷のまま体を裏切らせるので、「自分の意志が自分に牙をむく」(→芯)をむしろ強める。催眠は判断力そのものを上書きしてしまうので、芯を殺す。
  • バカエロ(奉仕奉行・公認肉便器)の魅力の正体:正気な社会が、狂った制度を真顔の事務手続きで運用する——その落差が、記録として残る効果(→原理C)を増幅する

3. 読者の「そこ、こう逃げられるのでは?」への“答え”になっていること

  • 読者は無意識に逃げ道をシミュレートして、ツッコミを入れる(「公序良俗違反で無効なのでは?」とか)。良い特別ルールは、そのツッコミを作品の中でちゃんと受け止めて、それを上回る答えを返す(「その考え方はこの世界にもある。あった上で、判例で潰されている」みたいに)。
  • 答えは、バカげているほど良い。ツッコミを正面から受けた上でねじ伏せた感が強くなる。「バカバカしくても読者の予想を上回る形でふさぐ」のはこのため。
  • 万能催眠みたいな装置は、このツッコミに何ひとつ答えていない。ただ「みんな逆らえない」で全部を一括で押し切っているだけ。すると読者は「作者がちゃんと詰めずに雑に処理した」と感じて、しらけてしまう。逃げ道を一つずつ理屈でふさぐのと、力ずくで押し切るのは、まったくの別物。

4. ふさぐのは「立ち直る道」であって、「報い(罰)」ではない

  • 加害者が罰を受ける・裁判で負ける可能性は、開いていていい。ふさぐべきなのは「尊厳を取り戻す道」だけ。裁判で勝っても、賠償金を取っても、加害者が服役しても、すでに残った記録は消えない——勝っても尊厳が戻らないなら、その逃げ道はふさがっているのと同じ。
  • 自爆型:加害者が、訴えられること・罰されることを承知の上でやり切る(例:訴えられるのを承知でデジタルタトゥーを刻む)。狙いは金(完全勝利)じゃなく、尊厳を壊すこと自体。
  • お金での穴埋め(保険金・賠償)は「損害」の話であって「尊厳」の話じゃない。この二つの軸を混ぜると、仕掛けが鈍る。
  • 応用:ヒロイン自身が起こした裁判が負けて判例になる型は、抵抗そのものが記録を強化する——芯(自分の意志・行動が、そのまま自分を追いつめる原動力になる)の“制度バージョン”。
  • 見えている「立ち直る道」は、下り階段でいい:立ち直る道を消すだけじゃなく、あえて見える形で残して、それ自体を罠にする——屈辱を晴らそうとする気持ち(名誉挽回・雪辱)が、より大きなリスクを賭ける“賭け金”になる。「逆転の希望を残す」ことと「本人の意志を原動力にする」(→芯)が、一つの仕掛けで両立する。

5. 逃げ道は「歩き出す前にふさいでおく」のが基本

  • 読者に前もって説明できる答えは、同じタイミングでヒロインにも理解させられるはず。読者だけが知っていてヒロインは知らない、みたいな答えは、この特別ルールには存在しない。ふさぐときは読者とヒロインに同時に効かせて、「分かった上で歩かせる」(→原理A・B)。
  • 試させてから、その場でふさぐ型(逃げ道を一度試させて、失敗させてふさぐ)は、その「失敗」自体が話の見せ場になるコンセプトのときだけ使う(例:訴える→敗訴して、より大きな絶望へ)。「後出しっぽさ」への配慮が必須で、話が中だるみしやすい。

設計原則(プロットへどう当てはめるか)

Section titled “設計原則(プロットへどう当てはめるか)”
  • 落差を設計する(上げてから落とす):「高い状態」は、どれだけ落ちたかを測る“ものさし”になる。上げるほどものさしが長くなる(→原理A)。
  • 安易に楽にしない:精神崩壊・逃亡・死は、どれも「本人が苦しみから降りられてしまう出口」。使うと話が一気に楽になってしまうので、簡単には使わない。とくに精神崩壊は、そこから先「自分で選ぶ」ができなくなる(→原理B)。
  • 敗北・ミスの説得力:万能催眠・完璧な洗脳・理由のないうっかりは、「選ぶ機会を消す装置」か「ふさぎ忘れた逃げ道」なので使わない(→芯・派生4)。
  • 行為より、その前後と影響を描く:エロ行為そのものより、そこを選ぶまでの過程(→原理B)と、それが世界にどう記録されるか(→原理C)を描く。
  • リアリティラインは最初に下げて固定する:先に決めて固定=ルール、後から持ち込む=ズル(→原理E)。決めた特別ルールは世界設定書に書き留め、以降は作者も変えない。前もって公開されたルールはヒロインの理性でも読める=頭の良さの見せ場にもなる(→芯)。悪役がルールの“内側で”出し抜く(契約書の差し替え等)のはOK、世界がルールそのものを変えるのはNG。

反証テスト(この整理が正しいかのチェック)

Section titled “反証テスト(この整理が正しいかのチェック)”

この整理が正しければ、次のものは自分に響かないはず。もし響くものがあれば、整理のほうを直す。

  • 完全催眠・洗脳もの(選ぶ機会が一度もないまま堕ちる)
  • 悪役の「能力」としての常識改変・観衆への催眠(採点する人・記録する係を消してしまう。→原理E)
  • 途中から持ち込まれる特別ルール(後出しのご都合。→原理E)
  • 記憶消去で「なかったこと」になるエンド(記録が消える)
  • なりかわり・成り済まし系(加害者の自我が主役になり、装置の“無個性”が壊れる)
  • 無理やりやらされた・言わされただけ(自分の意志が入っておらず、「自分で選んだ」が成立しない)
  • 本人が最後まで何も分からないまま堕ちる展開(選んだ実感がなく、「自分で選んで堕ちる」が成立しない。→芯・原理B)
  • 純粋な暴力・リョナ(芯の現象=「自分の選択で自分を追いつめる」が起きない)
  • 逆に「観客は演出だと思っているが、本人だけは本気だと知っている」は、あとで記録に残る前提の緊張として働く(好き)

この嗜好の全体を一言で指せる既存ジャンル名はない。まとめて呼ぶときは「尊厳破壊」を使い、各軸に近い既存ジャンルとの“重なり”と“ズレ”で輪郭を描く。

軸ごとの、いちばん近いジャンル

Section titled “軸ごとの、いちばん近いジャンル”
原理の軸近い既存ジャンル・タグ重なる部分ズレる部分
A. 折れない心(理性を保ったまま辱められる)くっ殺(くっ、殺せ系)・敗北ヒロインもの誇りと理性を保ったまま辱められる、心が折れない気高さ物理的に捕縛されるのが典型で、制度・契約の軸がない
A. 落差が測れる転落無様(系)・メンタルリョナ/精神攻め「元の高さとの落差」を測る語彙そのもの、鬱シコ状態の形容であって、物語の構造を指さない
B. 自分で選ぶ・特別ルール契約凌辱・同意もの、英語圏の dubcon / CNC同意の枠組みの中での非同意、署名という儀式CNCはプレイ用語で物語ジャンルではない(セーフワード罠はCNCの構造そのもの)
C. 記録に残る公開凌辱・見せしめ・身バレ/デジタルタトゥーもの世間の記録に残ることの重視装置の一種であって、なぜ効くかの原理を含まない
E. バカエロ(制度)常識改変・Free Use系世界観狂った制度を真顔で運用する世界多くは社会全体の価値観ごと書き換わるため記録する係が消え、Cが死ぬ(→原理E)。痴漢OKバスが機能するのは「バスの外の社会は正気」だから
傍観者の苦痛NTR観測者の視点から見る絶望、記録を読む苦しみ主軸が「所有関係の裏切り」であって尊厳ではない

素材は近いけど、正反対のもの(対照)

Section titled “素材は近いけど、正反対のもの(対照)”

素材が近くても、気持ちよさの源が正反対のジャンル。距離をはっきりさせることで、嗜好の輪郭が描ける。

  • 快楽堕ち:本人がとろけて我を忘れるのをゴールにする(→芯・Aと逆)
  • 催眠・洗脳:「誰が何を感じ・考えるか」を書き換える(→原理E-2と逆)
  • リョナ:体を攻める(芯の現象=「自分の選択で自分を追いつめる」が起きない)
  • わからせ:素材はほぼ同じ(生意気で高い状態のヒロインを落とす)だが、攻める側視点の権力ファンタジーで、視点も気持ちよさの源も正反対(→派生3と逆)
  • 類似作品を探すタグ群:無様・くっ殺・契約・公開調教・身バレ・自業自得
  • 精密に名指しするときの合成表現:「くっ殺 × 契約もの × 公開凌辱」の交差点。自分用のサブジャンル名の候補:制度型尊厳破壊、合意型転落